夜伽

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人によって人になれる

瓦礫の街。
崩れた其処を、何故だろう、俺は、悲しいとは思えなくて。
ただ、あの人が生きているかどうかは、既知が無事であるかどうかは、心配であったりもするんだが。
愛着が無いと言えば、それまでかもしれない。
俺は厳密にはあの街の人間じゃないし、あの街で長い年月を過ごそうという住人でもない。


だけど、そうじゃないんだ。
信じていたんだ。
誰もが、無事で居る事。
器なんて、関係無い。
人が居るなら、其処が、街で。
全てが瓦礫に変わったとしても、「ほんとうのもの」は何も変わらない。


安寧と、平和の中に居るから、言えるのかもしれない。
あの街で生き抜く気がある訳じゃないから、他人事で居られる。
だから…、言える事だというのも、解ってる。
実際、あの街で店を建てていた人や、働いていた人たちは、こんな事言ってられないだろう。



瓦礫の場所を、踏み歩いていた。
何処までも、地の果てまで見渡せそうな広い、荒れた地。
遠く、火が爆ぜる音が、やけに、耳に近く響いて。
…俺が、あの人を、最後に、探した、その場所は火に包まれて。

……―――そして、その人が居た。


二度と、会えないんだと思っていた。
二度と、会えなくても構わないと思っていた。
それでももし、一度でも会えたら、言ってやろうと思っていた事が、あれだけあったはずなのに。
言葉は何一つとして出てこなかった。



立ち去って行った少年が幻のように、俺の目はその人しか見てなかった。



生きる気があるのなら、その場に留まる生き方を望むなら。
人と関われる限り、生まれる術は、幾らでもある。
本当だ。
嘘じゃない。
俺は、それを信じてる。


―――おかえり。




【焚き木】浅見・(白蓮)


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酒黄昏

大停電。本当に、真っ暗な夜だ。
本を読みながら歩くのが俺の楽しみなのに、と少しだけ思った。
彷徨い歩いていたら扉が見えたので、入ってみる。
そこは、…―――。


普段なら行かないような場所に、普段なら会わないような人たちに。
だから、めぐり合わせというのは、面白いんだろうな。



主観の違い、なんだろうか。
若いと言われたのは初めてで、驚いた。
歳の割に落ち着きがあるとか、そういうのが俺に対する評価だったから、いつも。
本当に何の先入観も無く、あるままを見られているのなら、確かに若い部類には入る。
中身がそうであるかどうかは、別としても。
一杯のファジーネーブルと、軽やかな声。
色んなことに、場慣れしてる人なんだろうと、思った。
飄々としたところが、少しだけ、あの人と似ている。


牧師さんは、人の良さそうな。
可愛い人だと見てて思ったんだが、流石にそれは、言ってはいけないんだろうか。
心の中に閉ざしておく。
親切で、温かい人。物腰も穏やかな。
…あんなに、温かい声を、俺は、どうやっても、出せない気がする。


陽気な兄さんは―――何か、不思議な人だった。
自分の一部を少しだけ見せて、他者の全部を見据えて、そして、適度なところだけ拾い上げる、あのバランスは。
どうしたら培えるのか、解らない。
…―――俺は、人を、羨んでばかりだ。


もう少し大人になれば、そんな事も無くなるんだろうか。
少しだけでも理想に近付けるんだろうか。
アイツが居ないだけ、少しだけ救われる。こんな、言い方は、最悪だけど。
俺がずっと欲しくてなりたくて叶わなかったもの。
理想。
その侭に、生きる事が許されるお前を見るのは―――。

愛しいのと同時に酷く辛い。




【バー】男・(澤井竜二)・(掛井灘)・神前・(江見)


電壊

人影の塊

折り重なる、其れを

切り

刻み、たい

溢れる血で飾り立て




【ストリップ劇場】


教会のステンドグラス

あの、街を歩いていたら、矢鱈目立つ不審な人影を見つけた。
…教会の中を顔だけ突っ込んで覗いてたら、誰だって目を向けると思うんだが。
不審者かと思って蹴る前に聞いてみると入っていいのか解らないと言って来た。

keep outの黄色いテープでも張ってあるなら兎も角、俺には無い発想だった。



見ているのが同じものでも、考えの起点は随分と違う。
俺は、あの高い天井を見たらステンドグラスを堪能したいと思うし、相手は賛美歌が…聞きたいと言っていたな。
良い趣味をしていると思う。
屹度、綺麗だろう。

考えていた事を誰かに聞いてもらう機会に恵まれるというのは幸せなめぐり合わせなんだろう、な。


少しだけ解いた長話。諦めが悪いのなんて、もう、解ってる。解ってるんだ。
会う事は、多分無い。届かなくても、構わない。平穏を壊そうとも思わない。
――――それでも俺の中には、あの人が棲んでる。
だったら、無理に振り切らずに追うべきだ。どうせ、追い遣る事が出来ないなら。



一緒に見た朝日に照らされたステンドグラスを仰いだ明け方。
綺麗、だった。




【教会・地下墓地】男(アキオ)


銀朧

滲む銀

問われた、名、なぞ

知らぬ

血の誠実さえ、在れば、良い




【河川敷】(巽晃希)


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